HIGHESTのみなさん、こんにちは!
まもなく2023大学受験の出願が始まりますが、先週に引き続き東進や河合塾の模試分析から見える出願傾向をお伝えします。
※今週は文系学部についてです。
新課程初年度の2025年度入試(25年4月入学)はまだ先ということもあり、23年度の一般選抜に大きな変化はありません。それでも、長期的な視点で志願者数を見ると、徐々に変化しています。
「大学にもよりますが、受験人口の減少に伴い、私立大の一般選抜は全体的に易しくなっています。受験生もかつてほど厳しさを感じていないのか、模試で合否判定を受ける志望校の記入数がやや減っています。国公立大の一般選抜の志願者も、22年度入試は増加しましたが、3年前と比べると前期は1割減です」(河合塾)
私立大全体の志願者が減少傾向の中、23年度は難関大の人気が高く、首都圏では慶應義塾大や上智大、学習院大、中央大、法政大、明治大など多くの大学で志望者が増えています。それでも、「強気に狙える」と多くの予備校関係者が口にします。
「明治大や法政大などの難関私立大は、志願者が増えても倍率が上がらないかもしれません。というのも、大規模大学の定員超過率を1年単位から4年間の総定員で見るようになり、退学者などで学生数が減った分を入学者に上乗せできるため、これまでより多くの合格者を出せるからです」(駿台予備校)
では、学部状況はどのような傾向が見られるのでしょうか。
「模試の志望状況を見ると、理系は国公立大と私立大ともに模試全体の受験者指数を上回っているのに対し、文系は下回っています。23年度の一般選抜も理高文低が続くと見ています。特に志望者が大きく減っているのは、国際関係や外国語系です。これらを志望していた層は法学系や経済・経営・商学系など比較的堅調な系統に流れているものと見られます」(ベネッセ)
確かに「系統別志望状況」を見ると、外国語は国公立大と私立大ともに前年を100とした指数は90を下回っています。22年度の大幅減から、さらに減りそうで狙い目の系統といえます。外国語ほどではないですが、国際関係も減少しています。
大学別では東京外国語大の志望者が大幅減という事実。学部系統の不人気に加え、23年度から共通テストで数ⅠAに加え数ⅡBが課されることが要因です。大きな入試変更はないですが、大阪大・外国語も志望者が大きく減っています。私立大では明治大・国際日本や関西大・国際など、大学全体として人気が高い難関大でも志望者が減少傾向にあります。
ここ数年、この系統の志願者が減少傾向にあるのは、コロナ禍で留学が止まるなどグローバルな人の流れが滞っていたためです。しかし、海外留学が本来の状態に戻りつつあり、外国人観光客が普通に入国できるようになった今、志望者の減少幅が小さい国際関係を中心に志願者が戻る可能性もあります。
22年度入試で志願者が増えた法学系は、23年度でさらに人気が高まっています。私立大の指数を見ると99で100を下回っていますが、模試全体の私立大の指数が96なので、3ポイント上回っていることになります。国公立大は97で全体の指数98と比較すると前年並みです。
「中央大・法は、1978年に駿河台キャンパス(東京都千代田区)から郊外の多摩キャンパス(同八王子市)に移ったことで、法学部としての人気や難易度がやや下がりました。法学部は23年度に茗荷谷キャンパス(同文京区)に移転します。都心回帰により、早慶の法学部に再びどこまで迫れるのか、注目しています」(東進ハイスクール)
経済・経営・商の指数は、国公立大が102で私立大が99と、国公立大の伸びが大きいです。
「コロナ禍の影響が薄れ受験生の移動が活発になることで、東北大・経済の志願者が増えています。同様に北海道大も経済を含め文系学部全体的に志願者が増えると見ています。」(駿台予備校)
「九州大・経済や横浜国立大・経営などの難関・準難関大も難化傾向です。23年度から公立大になる旭川大・経済の人気も高いです。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)や関関同立といった難関私立大も、この系統の志望者が増えています。」(東進ハイスクール)
他の系統で志望者が増えているのは、芸術と総合科学。総合科学は人気が高いデータサイエンス系が含まれることが志望者増の要因になっています。